サイゴン*SAIGONで道草

若森さんの「道草」が大好きです。
私の「道草」も、ちょっとのぞいてみてください。

夏休み、私は毎年ベトナムですごしています。
ベトナムには、私の暮らしの周辺から消えてしまったものがたくさん残っています。
子どもを張り飛ばす母親。幼いきょうだいの面倒をみる子どもたち。
物売りの呼び声。足踏みミシンの音。
行水。蚊帳。昼寝。
そんなものに囲まれて、短い休暇のほとんどを、私はベトナム人の家で過ごしています。
そんなサイゴンの休日を、ほんの少しおすそわけ。

●おうちごはん

ベトナムの家庭料理は、そりゃあおいしい!
食卓は冷たいタイルの床の上です。
お盆にのせられた数品のおかずたち。
ご飯にのせて、おかずの汁をちょっとかけて、
がつがつと食べます。
子どもたちは、「きょうね、あのね……」と、話すのに夢中。
だから、ご飯をこぼしてしかられます。
食べ終わると、ごろり。ウシならぬ水牛になってしまいそう。
きょうのごはんは、バインセオ(お好み焼き)とゴイセン
(蓮のあえもの)です。

●市場で売り子

私の友人は小さな市場で働いています。
昼間はそこが生活の場。
ちょうど子どもは夏休みで、家業のお手伝いです。
私も10歳のタオと一緒に、さつま揚げを売りました。
「2000ドンだよ。2000ドンだよ」。
ひとしきり働いたら、また昼寝。起きたらご飯。
買ってきた氷ぜんざいを食べながら、ああ〜幸せ。
外国人はひとりも来ない、サイゴンの片隅の市場です。

●昼寝

大人になって、しかも会社に勤めてしまうと、昼寝って、しなくなりますよね。
遠い夏、行水をすませて、ガーゼ地の布団で夢を見た記憶が忘れられません。
ベトナムでは、毎日のように昼寝をします。大人も昼寝をします。
ハンモックに揺られている耳に、小鳥のようなベトナム語が遠くから聞こえてきます。
起きると、ばあちゃんがスイカを出してくれます。
「スイカ切ったよ〜」。母の声が聞こえてくるようです。

●美容院

サイゴン滞在中、1日おきに通ってしまうのが、
地元の人が行くふつうの美容院です。
ベトナムの美容院では、鏡の前に座った状態で頭を洗わ
れます。その間、横からツメのお手入れ。
奥の部屋に通されて、完全に寝た姿勢でシャンプーを流される
のですが、髪を流しながら、そのまま顔まで水をかけられます。
これが気持ちいいの〜。
その後、顔のマッサージすること30分。
お化粧までしてくれて1000円かかりません。
停電で、ろうそくの灯りのもとで、髪を洗ってもらったことも
あります。高級エステに負けない、癒しの時間でした。
うーん、極楽ぅ〜。

●祈り
ベトナム人はとても信心深くて、家庭には必ず仏壇(?)があります。
朝夕お線香をあげてお祈り。
お線香を頭上にかかげて、何度も上げ下げする独特のスタイルは、とても美しい。
サイゴンの有名なお寺の入り口では、小さな鳥を売っています。
カゴの鳥を買い取って、お寺の境内で逃がしてやるのです。
「鳥を自由にします。そのかわりに、私の願いをきいて」という交換条件?!
お寺は何時間いても飽きません。異国の人の祈りの姿を、ただただ見つめています。

さいごに
ベトナムは、子ども時代の夏に帰ったような気持ちにさせてくれるところ。
今回は、サイゴンだけのお話でしたが、ハノイやホイアンも、夢のように美しい町ですし、
メコンの町はもっと素朴で、大河のようにゆったりとした時間が過ごせます。
短い休暇なら、ぜひ1都市にずっと滞在してはいかがでしょうか?
買い物や観光をはなれ、異国の生活の音に耳を傾けてみると、
ちょっとおもしろい旅になると思いますよ。

文・撮影(東京都ミャオ様)
とっても素敵な旅をなさっているミャオ様
シノアも近頃縁遠くなってしまったこんな旅
投稿ありがとうございました!

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